1989 年 38 巻 5 号 p. 218-223
液体窒素による冷却オンカラム濃縮とキャピラリーGCを組み合わせた多成分有機溶剤蒸気の同時分析システムを開発し,労働安全衛生法によって測定が義務づけられている作業環境中の18種類の有機溶剤の同時定量に応用した.空気試料(例えば3ml)を1ml/minの流速のキャリヤーガスによって,液体窒素浴中に浸したキャピラリーカラム中に導き,試料成分をカラムの入口部に直接凝縮捕集する.その後液体窒素浴を取り除き,昇温GCを行い,水素フレームイオン化検出器で検出する.分離カラムに極性カラムと微極性カラムを連結して用いることにより,上記18種類の有機溶剤をほぼ安全に分離することができ,そのうちの16成分については各管理濃度の1/100まで検出することができた.本法を大学の有機廃液焼却処理施設の作業環境測定に応用して良好な結果を得た.