1989 年 38 巻 5 号 p. 239-244
環境水及び工場排水などの水試料中のアルデヒド類を窒素でパージし,2-ジフェニルアセチル-1,3-インダンディオン-1-ヒドラゾン(以下,DAIHと略記)を用いて誘導体化した後,この誘導体をHPLCで測定し,アルデヒド類を定量する方法を確立した.すなわち,水試料200mlを洗気瓶に入れた後,塩化ナトリウム40gを加え溶解し,80℃の湯浴中に入れ,窒素を通じながら(100ml/min)50分間静置しアルデヒド類をパージした.洗気瓶のガスの出口は捕集液(DAIH 15mg,アセトニトリル30ml,塩酸5滴)を入れたインピンジャーをシリコンチューブで連結し,パージされたアルデヒド類を捕集した.捕集液はそのまま,あるいはロータリーエバポレーターを用いて適当な濃度に濃縮し,その20μlをHPLCに注入した.測定したピーク高さとあらかじめ作成した検量線からアルデヒド類の値を算出した.この方法による水試料からの回収率はアセトアルデヒド:92~98%,アクロレイン:82~96%,プロピオンアルデヒド:94~99%,クロトンアルデヒド:79~96%であった.又,検出限界はアセトアルデヒド:1.2μg/l,アクロレイン:0.7μg/l,プロピオンアルデヒド:1.5μg/l,クロトンアルデヒド:0.7μg/lであった.