1991 年 40 巻 9 号 p. 481-487
生体試料中の微量タンパク質の定量分析を目的に,高感度で妨害物質の少ないブロモクレゾールグリーンを用いた色素結合法により,ハード構成を特に重視しごく小さい線流速で試薬及びキャリヤー液を流す反応系で既存のFIAには見られないS4-FIAシステムに基づく流通式の小型センサーを開発した.ウシ血清アルブミンを標準物質として,この装置の操作条件を基礎的に検討した結果,細く短いテフロン反応管内で定量的化学反応を行わせるには,二連シリンジポンプを用いて0.05ml/min未満の流量で精密送液する必要があった.そのため従来FIAの特徴とされていた迅速さでは十分とは言えない反面,高分子量の生化学物質のFIAで指摘されていた直線的検量線が得難い現象が改良され,精度・信頼性が大幅に向上した.本法は従来の手分析法並びにFIAに比べ微少量の試料及び試薬で分析でき,S/N比から求めた検出限界も低く,特に精度に関しては相対標準偏差で0.2%と従来にない高精度が得られた.