分析化学
Print ISSN : 0525-1931
銅(II)-N,N-ジエチルジチオカルバメート錯体のメンブランフィルター捕集/直接導入黒鉛炉原子吸光法による微量銅の定量
森田 孝節吉川 將史磯崎 昭徳
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1996 年 45 巻 10 号 p. 909-914

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抄録

水試料中の微量銅をN,N-ジエチルジチオカルバミン酸と錯形成させた後,吸引濾過することによりアセチルセルロース製メンブランフィルター(AC-MF)上に捕集する.これを内径既知の紙パンチで打ち抜き,黒鉛炉内に導入する銅の直接定量法について試みた.銅濃度0.60ppb以下の試料溶液250mlに2%クエン酸水素二アンモニウム溶液5mlを添加した後,アンモニア水でpH9に調整する.これに0.5%DDTC溶液2mlを加えて10分間静置した後,孔径0.45μmのAC-MFを用い吸引濾過する.このAC-MFを乾燥させた後,直径2.0mmの紙パンチで打ち抜き,ディスクを作製する.ディスクを黒鉛炉内に導入し,銅の原子吸収によるピーク面積を測定する. わき水を50倍希釈したものを試料溶液とし,本法を適用したところ,定量値は2.44ppbとなり,6回の繰り返し測定による相対標準偏差パーセントは4.0%であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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