1958 年 7 巻 5 号 p. 296-300
連続電量滴定法の終点指示方式に電流滴定法を適用すると,その滴定曲線は直線的になる.よって,本装置のごとき増巾器から直接,電解電流をとりだす装置でも,試料濃度と電解電流との関係は直線的になる.また動作点における電圧感度も試料濃度に関係なく常に一定である.このため本装置の過渡現象を調べるにも好都合である.電流滴定の指示電流を抵抗をとおして電圧としてとりだすので,その抵抗値をかえることにより電圧感度を自由に選択することができる.
本報では電流滴定法を利用した連続電量滴定法の原理を説明し,電位差滴定法を終点指示方式に採用した場合の差異および長短をのべるとともに,亜砥酸の稀薄溶液を試料とした臭素滴定をおこなった.その結果,亜砒酸の濃度と電解電流との関係はまったく直線性がなりたち,さらにその再現性も良好であった.