分析化学
Print ISSN : 0525-1931
高比放射能の銅-64,ニッケル-65およびマンガン-56の製造について
8-hydroxyquinolineの金属錯塩のホットアトム効果について(第1報)
海老原 寛吉原 賢二
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1960 年 9 巻 10 号 p. 815-821

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抄録

8-hydroxyquinoline(オキシンと略す)の銅,ニッケルおよびマンガンのSzilard-Chalmers効果について調べた.無水のオキシン塩にJRR-1(中性子東密度~1011n/cm2・sec)中で中性子照射をし,これをクロロホルムに溶解してから種々のpHの緩衝溶液とふりまぜ,Szilard-Chalmers効果によって錯塩の結合からはずれた金属原子を水層に抽出した.放射能測定によって水層への抽出率を定め,水相中のその金属イオンの総量を定量して濃縮係数を出した.
64Cuについては抽出率9%(pH11の緩衝溶液)および15%(15Nアンモニア水)を得,濃縮係数はそれぞれ231および244を得た.65Niについては0.5N水酸化ナトリウム溶液で抽出して抽出率81%,また濃縮係数は105という値を得た.なおニッケルターゲットから(n,p)反応で生成する58Coを分離する方法についても述べた.56Mnの場合はpH9で抽出率10%,また濃縮係数は103を得た.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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