2019 年 74 巻 1 号 p. 5-13
数年前から,人工知能や機械学習について目立った成果が取り上げられるようになった.日本では,バブル崩壊後あたりから撤退する企業が相次ぎこの分野は長く冬の時代であったのに対し,海外では堅実な研究が続けられていた.その研究が実り,コンピュータ囲碁は人間のトッププロに勝つようになったり,機械翻訳や音声認識がその精度を大幅に向上させるといった成果に繋がった.一方で,マスコミの情報では,機械学習があたかも魔法の杖であるかのような過剰な印象を与えているとも思う.以下では,現状の機械学習はどのようなもので,何が今までと違い,何が変わっていないのかを論じる.