1981 年 36 巻 6 号 p. 421-427
現在のエネルギー問題全般にいえることですが, 誤った通説がまことしやかに流されています. その中でも化石燃料についての認識はひどいもので, 「神話の中における混迷」ともいえそうに思います. 量的には豊富な原油や石炭が, いまにもなくなりそうに騒がれたり, 液化技術が経済的に完成しないと, 石炭が原油を代替できないかのようなデマが横行しています. また, 化石燃料中で最も豊富な石炭の研究では, 石炭そのものの構造を知ろうともしないで, 現象にひき廻されるむだが, 「悲喜劇」とも認識されないままに継続されています. この解説では, 各方面におけるこの種類の誤りを指摘し, 正しい目を開いていただく基礎として, 問題提起を試みたつもりです.