1981 年 36 巻 6 号 p. 428-435
世界ではじめて原子炉がつくられてから, 今年で39年になる. 核分裂エネルギーの発見が, まず軍事に利用されたことは不幸であったが, 第二次世界大戦後平和利用とくにエネルギー源として活かすことが期待され, 原子力発電の研究開発および実証に努力がはらわれた. 石油消費を減少させることが現在の切実な課題であり, 代替エネルギーのうちで原子力発電がもっとも実績をあげてきているが, まだ石油にかわる発電用エネルギーとして定着したとはいえない. 今日までの歩みをふりかえり, 今後約10年の主として技術的課題を展望した.