中性子のエネルギーが数百neV以下になると,物質表面で全反射が起こる.この時,中性子は超冷中性子(UCN)と呼ばれ,物質容器に閉じ込められ,中性子電気双極子能率の精密実験に用いることができる.また,UCNは磁気ポテンシャルや重カポテンシャル内に閉じ込めることも可能で,磁気ポテンシャル内でのβ崩壊の精密実験,重カポテンシャルによる量子力学実験に応用される.そして,中性子・反中性子振動実験への応用も考えられている.これらの実験では,UCNの数,特に密度が決定的に重要である.UCN密度を革新的に向上させる新しいUCN源の原理,それを実証する実験について述べよう.