CAMPUS HEALTH
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原著論文
障害学生に有効な支援の検討
―支援学生へのアンケート調査と卒業・退学学生の分析―
早坂 浩志新村 暁
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 59 巻 2 号 p. 70-76

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抄録

全国の大学で障害学生支援体制の整備が進む中で,今後は障害学生の教育に有効な支援の提供が課題になる。本研究では,大学の支援を受けている学生を対象とした質問紙調査と,支援を受けて卒業・修了・退学した学生の特徴の分析をとおして,学生にとって有効な支援について考察を行った。質問紙調査の結果,学生は障害の種別に関わらず,支援部署が学生の障害特性と必要な配慮を教員に伝えて理解を求めることと,学生の大学生活に関する悩みの相談に応じることが役に立っていると評価する傾向があり,発達・精神障害がある学生は,個別の学習支援や居場所支援が役に立っている評価する傾向があることが示された。次に,卒業・修了・退学した学生の特徴の分析により,発達・精神障害がある学生の卒業・修了に大切なのは,学位研究や実習など,高年次になって修学上の支障が出てきた際にすみやかに大学の支援を求められる関係を学生とあらかじめ作っておくことと考えられた。進路については,未定のまま卒業・修了・退学する学生も少なくなく,就労支援の強化が必要であるが,支援部署の修学支援に要する人的資源を考慮すれば,外部就労支援機関との連携が今後の課題と考えられた。

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© 2022 全国大学保健管理協会
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