Print ISSN : 0016-450X
扁平上皮癌の組織像とその放射感受性の相關について
子宮頸部癌の研究
太田 邦夫
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1949 年 40 巻 1 号 p. 23-33

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抄録

約100例の子宮頸部癌を,Ra-照射治療の前,照射間及び後に,連續的に組織學的檢査を施して,その組織像と放射感受性について,相關を求める目的をもって研究した。
1.從來のいわゆる扁平上皮癌なるものの分類に對して,純粹に形態學的の立場から新分類を提出した。殊に扁平上皮癌に對しては,重疊上皮癌の新命稱を提唱し,且つDuval及びLacassagneのいわゆる粘皮型及び表皮型なる分類に批判を加えた。
2.特異的に放射感受性の高度の組織型は見出し得なかったが,未分化型重疊上皮癌は分化型並に單純癌に比して,感受性の高いことを認めた。
3.有絲核分裂像の多少は必ずしも放射感受性の強弱と併行しないが,一癌細胞巣内において,核分裂像がその中心部にまでも廣く分布している場合には,明らかに高い感受性が見られる。
4.放射感受性を檢索する一つの着眼として,第一回照射後における組織像の變化,殊に,癌巣と間質との交渉を檢索する必要のあることが強調せられる。

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