Print ISSN : 0016-450X
癌における局所リンパ節の間質性反應について
太田 邦夫曾根 正藏
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1949 年 40 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

目的 腫瘍の間質性反應を檢討するには,その原發巣を檢索しても分析が困難であるが,リンパ節轉移における態度はリンパ節なるものの間質の基本講造と反應様式が單一であるために都合がよい。
この目的で殊に髓様癌と硬性癌の局所リンパ節を比較檢討した。
材料・方法 91例の胃癌切除例の腎について,その原發巣とリンパ腺(各例につき15∼30個を比較檢討した。
染色 H-E染色, Mallory染色, Dublin氏鍍銀染色
結論
A. 轉移初期には縁洞内轉移において1) 髓様癌ではほとんど一様に縁洞銀繊維は消失に向う。2) 硬性では縁洞銀繊維の肥大,新生が局在性に見られることがある。倶し離斷消失の起る場合もある。
B. 轉移がさらに成長すると,成長の前線においてFibrillosis-硬性 Fibrillolysis-髓様癌が進行する。
C. 轉移巣内の二次的退行變性は髓様癌中にもFibrillosis-Fibrosisを起さしめる。
D. Pre-invasive cellular reaction(侵襲前の細胞性の反應)として一定のものを認めることは出來ない。
E. 然しPre-invasive fibrillosisと考えられるものが存在するように思われる。發現率26例中6例(16個のリンパ腺) 發現場所は圖表を參照 但しこれに對しては各リンパ腺の既往について對照がなければならない。同一個體の同一群に屬するリンパ節或いは同一リンパ節の他の部分との比較において,かなり炎症性要素を除外し得ると思う。
F. もしPre-invasive fibrillosisがあるとすれば,それは硬性細胞のfibroPlastic intrinsic factorを考えねばならない。

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