Print ISSN : 0016-450X
肝癌生成過程における白鼠の肝鉄量の研究
森 和雄川井 三郎重田 吉輝
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1952 年 43 巻 4 号 p. 437-441

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抄録

白鼠にButter Yellow白米食を与え14週を経て後,正常白米食に替え更に2週乃至3週飼養した。これらの動物を出血死せしめ,肝病変を肉眼的正常,表面不平滑,肝硬変乃至肝癌の4段階に分ち,その各々をデシケーター中で滅圧乾燥秤量した。乾燥材料100mg宛を採り,H2SO4酸化後,KSCNで呈色せしめ光電比色計を用いて,その全鉄量を比色定量した(Kennedy法)。
実験結果は第1表に示し,第1図に図示した。即ち肝癌生成過程における肝鉄量の消長は乾燥,新鮮両材料共に同じような傾向を示している。即ち肉眼的正常肝の全鉄量は全例中最高値を占め,正常肝の2倍以上に達した。ついで表面不平滑肝並びに肝硬変の場合はこれより漸滅し,肝癌の際は正常肝の半滅値にすぎなかつた。

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