Print ISSN : 0016-450X
実驗的多中心性ネズミ肝癌における初期癌巣間の相互交渉について
太田 邦夫松本 昭三
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1954 年 45 巻 4 号 p. 581-590_5

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抄録

ある発癌の場においては, 発癌は多中心性に行われるにもかかわらず, 通常発達した癌は一個の結節を形成し, 形態学的特徴, 移植上の態度から単一腫瘍と看做しうる場合が多い。著者らは多中心性に生じた初期癌が発達した単一の癌塊として認められるに至る過程において, 二種以上の癌巣間の衝突並びに一つの癌による他の癌の圧迫を, dimethyl-aminoazobenzene ネズミ肝癌実験によって実証することができた。多中心性発癌が単一癌塊に発達するには, 優勢な一種の癌による劣勢の癌の征服が行われる。優勢な癌による劣勢な癌の同化 (Assimilation) なる機転は証明されなかった。

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