Print ISSN : 0016-450X
癌原性アゾ色素によるネズミ肝の間葉性反応, 特に軟骨形成及び肝の混合腫瘍の発生について
太田 邦夫松本 昭三
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1954 年 45 巻 4 号 p. 591-599_3

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抄録

木下 (1937) 以来, dimethyl-aminoazo-benzene ネズミ肝癌実験において, 間葉性反応の著しいことが注目されてきたが, これについての詳細な記載は不足していた。著者らは, 米及び高脂肪食を基本食餌として行った同実験について, 間葉性反応を分析記載し, ことに軟骨島の出現と, 間葉性反応一般並びに肝癌上皮成分との相関関係について論じた。軟骨島は肝癌51例中8例において見られ, 一例では移植一代にも現われた。また一例の癌肉腫についても記載した。すべて上記の例に著しい間葉性増殖が認められ, 幼若型から種々の段階の分化をも追求できた。軟骨島が, 腺管形成のある癌組織に直接する間質に認め得られたことは, 癌上皮の間葉分化誘導を示唆すると思われる。

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