Print ISSN : 0016-450X
カタラーゼ抑制性組織因子
トキソホルモンと Kochsaft 因子
遠藤 英也杉村 隆小野 哲生紺野 邦夫
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1955 年 46 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

中原, 福岡により悪性腫瘍から分離されたトキソホルモンは, 福岡, 中原の肝粉食または鉄投与により, その作用が打消されるという実験結果から, カタラーゼの合成阻害を起すものと推定され, 一般にトキソホルモンにより含鉄酵素, ヘモグロビンの合成阻害が起り, それが癌悪液質の原因になると考えられる。これに対して, Hargreaves and Deutsch は悪性腫瘍の Kochsaft が in vitro で結晶カタラーぜを直接阻害すると報告した。トキソホルモンと Kochsaft 因子との相関関係を明らかにすることは重要だが, 今回, 我々の実験結果から, Kochsaft 因子は正常組織にも悪性腫瘍と同程度に存在し, その一部はグルタチオンによるものであり, 腫瘍特異的でなく, さらにトキソホルモンは in vitro で結晶カタラーゼを阻害せず, 両者は全く異ったものであることが確認された。これは Price and Greenfield が担癌動物の肝臓から分離したカタラーゼ量が実際少いという実験結果と共に合成阻害説を支持するものである。

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