Print ISSN : 0016-450X
腫瘍組織から得たある塩基性蛋白の抗菌性について
杉村 隆小野 哲生
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1957 年 48 巻 1 号 p. 81-90

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抄録

トキソホルモンのバイオアッセーに, 細菌を使う試みを研究している途次に, 腫瘍組織から得たO分劃 (アセトン粉末より, メタノール醋酸75°C2時間抽出, エーテルで沈澱させる) はかなり強い抗菌力のあることを見出した。一方トキソホルモンにメタノール, 醋酸抽出法を応用して得たTO分劃は, トキソホルモン作用は強いが抗菌性はみとめられなかったから, 両作用は別種の物質でおこる。
O分劃は E. coli の生長を阻害するが, Proteus vulgaris の生長を阻害しない。またO分劃はグルコース, グルタメート, アラニン, アスパルテートを基質とした場合その酸素消費を抑制する。Proteus vulgaris の場合にはこのような事実も見出せない。O分劃によるE.coli の生長阻害及び酸素消費抑制はマグネシウム, カルシウム, アルミニウム等のイオン, RNA, DNAによって打消される。
O分劃は E. coli の菌体に吸着し抗菌性を表わすものと考える。

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