Print ISSN : 0016-450X
ラット腫瘍におけるDNA代謝, 並びに DNase 活性におよぼすX線の作用
関口 豊三亘理 勉江藤 秀雄吉川 春寿
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1958 年 49 巻 3 号 p. 199-208

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抄録

移植性腫瘍および垣癌動物の肝, 脾におけるDNA代謝を放射性燐P32を用いて検索し, これにおよぼす放射線の著明な抑制低下を認める一方これらの組織におけるDNA解合酵素活性を測定し, DNA代謝の rate とこの DNase 活性の強さとがよし一致していること, またこの酵素活性はレ線照射に依って著明に増強することを認めた。DNA代謝はP32を1μc/gmの量で腹腔内注射し, その後2, 4, 6, 12, 24および48時間後に組織のDNAを Mirsky-Pollister 法で抽出精製した後, その比放射能cpm/DNAprを測定し, 腫瘍, 脾が高く, 肝が低い値を示した。
レ線照射 (全身照射) 300r 24時間後にこれ等の値は著しく低下し, 脾は1/10に, 肝および腫瘍は各々1/3に低下した。DNA解合酵素活性は何れの組織はおいても DNase II と呼ばれる所謂酸性 DNase 活性のみが認められ, 腫瘍, 脾に強く, 各々50, および45酵素単位を示すか, 肝は低く15単位であった。一方上記照射後, 24時間後に酵素活性は増強し, 脾に著しく, 約2倍となった。この活性増強の機序について, 酵素蛋白の合成の増加があるか否かについて, in vitro での slice の incubation を行ったが, 酵素蛋白の合成の増加は認められなかった。

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© 日本癌学会
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