日本白内障学会誌
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学術賞受賞記念論文
水晶体嚢と細菌と眼内レンズ
小早川 信一郎
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2014 年 26 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

白内障術後眼内炎の発症機序は不明な点が多い.筆者らは,前房内に迷入した細菌が眼内レンズ(IOL)表面に定着増殖後,眼内へ拡散するとの仮説を立て,IOL素材と細菌の付着性,増殖開始後の眼内への拡散経路,ドラッグデリバリーシステムを応用した眼内炎予防法について検討した.IOL素材と細菌の付着性では,シリコーン,PMMA,アクリルの3素材に関して,腸球菌と表皮ブドウ球菌ともに48,72時間後ではシリコーンがもっとも少なく,アクリルがもっとも多かった.つぎに,水晶体嚢内で細菌が増殖した際の組織学的変化は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)および表皮ブドウ球菌はともに水晶体嚢の内側に付着していたが,MRSAでは水晶体嚢へ直接浸潤,埋没,水晶体嚢から圧出された所見が観察された.ドラッグデリバリーIOLならびにソフトコンタクトレンズ(SCL)の有用性では,抗菌薬前房内投与や点眼液と同等以上の効能を確認した.

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© 2014 日本白内障学会
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