抄録
くも膜下出血(SAH)の病態において,発症急性期脳損傷のメカニズムが近年注目されている.我々は,齧歯類SAH モデルを用いて,酸化ストレスの減少がAkt/GSK3β 生存シグナルの活性化を介してSAH 後の急性期脳損傷を軽減することを示した.また,実際のSAH 臨床例において,MRI 拡散強調画像が急性期脳損傷の検出に有用であり,治療後の転帰予測も可能であることを報告した.SAH 後の急性期脳損傷は転帰に大きな影響を及ぼすことから,新たな治療ターゲットとして治療方法を模索していく必要がある.