抄録
ポジトロンCT(PET)は,開発当初から脳循環代謝計測に用いられ,ヒト脳機能計測の代表的なモダリティーであった.近年脳賦活検査が機能的MRI (fMRI)で行われるようになり,刺激に伴う脳活動の定量的変化はMRI で主に計測されるようになったが,脳血流量やエネルギー代謝の定量測定は,依然脳PET が主役といえる.2000 年代に入り,受容体・トランスポーターイメージングが一般臨床でも用いられるようになり,分子イメージングが脚光を浴びている.高齢化社会の到来とともに認知症診断の重要性が増し,アミロイドイメージングによるアルツハイマー病診断等,臨床診療における脳PET 検査の意義が,今後益々高まっていくものと期待される.脳PET 検査,とくに定量検査の進歩を振り返るとともに,今後どのように使われていくのか,その展望を総括しておくことは,生体脳機能イメージングの今後の方向性を考える上でも重要と思われる.