抄録
要旨 乳幼児期に発症する重症てんかんの多くは,激しいてんかん性脳活動のために認知・行動発達の遅滞・障碍を来すてんかん性脳症となる.脳形成異常はその主要な原因であり,これに伴うてんかんは難治のため脳機能に可塑性がある乳児期の間の外科治療が推奨されている.乳幼児のMRI はコントラストが乏しく判読が難しいため,PET とSPECT とくにSPECT で発作時のデータから発作間欠時のデータを差し引いてMRI に重ね合わせるSISCOM(Subtraction Ictal SPECT CO-registered to MRI)が発作焦点の同定において有用である.岡山大学病院てんかんセンターで乳幼児期に半球離断術を行った重症てんかんの8 症例 (初回手術時年齢:生後2 カ月~2 歳,平均9.9 カ月)の中,MRI 所見の不明瞭な2 例ではSISCOM が病変同定のために有効であり,PETも効果を発揮した.これにより乳幼児のてんかん外科治療における脳循環・代謝に関わる機能神経画像の有用性が実証された.