2015 年 26 巻 2 号 p. 63-66
要旨 新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant; NOAC)の観察研究が欧米より報告され,第III 相国際共同試験との間に一部解離が認められた.理由として,第III 相試験における患者の選択・除外基準がreal world に即してない可能性があること,またreal world でのNOAC の用量設定の問題等が指摘された.大規模観察研究では,NOAC のワルファリンに対する有効性と安全性の評価は,対象とする母集団の背景因子(CHADS2 スコア等)によって異なっていた.ダビガトランについては,CHADS2 スコアの低い患者集団を対象とした場合,安全性の評価においても優れていた.また服薬非継続率に関する研究では,NOAC は一貫してワルファリンよりも優れていた.今後,本邦においても大規模な観察研究が行われ,real world での現状が示されることが望まれる.