脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌)
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シンポジウム3 脳梗塞病態と新治療開発
アストログリアをターゲットとした脳梗塞治療戦略の構築
髙橋 愼一
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2015 年 26 巻 2 号 p. 67-75

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抄録

要旨 我々はこれまでneurovascular unit におけるニューロンとアストログリアの代謝コンパートメントについて研究を進めてきた.脳梗塞の病態においてもアストログリアの代謝応答は重要な働きを担うが,ニューロンに対する障害作用と保護作用は表裏一体であり,一方のみを強調して論じることは難しい.アストログリアの主要な代謝コンパートメントには,1)グルコース代謝,2)脂肪酸代謝,3)アミノ酸代謝がある.それぞれ,1)虚血下で増加する解糖系代謝産物である乳酸の影響,解糖系のシャント路であるペントースリン酸経路の亢進による抗酸化ストレス作用,2)脂肪酸代謝活性の高いアストログリアからの内因性ケトン体産生と虚血性神経細胞障害に対する保護作用,3)虚血性神経障害で重要な役割を演じるグルタミン酸のco-agonist であるD-セリンとその立体異性体であるL-セリンの代謝コンパートメントについて,脳虚血における障害/保護作用をまとめ,脳梗塞治療への応用を考察する.

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© 2015 日本脳循環代謝学会
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