抄録
要旨 神経血管ユニットに関する光イメージングを用いた基礎研究は,二光子顕微鏡法と多様な蛍光タンパクの登場により飛躍的に進展している.本稿では,マウス脳内の微細構造をin vivo で可視化し,画像データを定量的に解析また視覚化するための手法について報告する.二光子顕微鏡法で撮像した脳微小血管に関するマルチスライス画像からは血管の長さ・径を算出し,ネットワーク構造を3 次元空間に再構成した.一方,神経・グリア細胞に関しては蛍光標識を施し,画像上で細胞の位置情報と共に形態を評価した.さらに形態画像に加えてダイナミック撮像を組み合わせることで,血流やカルシウム応答などの機能情報を同時に取得することが可能である.今後は,各種の細胞環境の画像化や遺伝子・タンパク発現を画像化することで,神経血管連関におけるシグナル機構や細胞環境を介した神経作用について明らかにするために有用なツールに発展すると期待される.