2016 年 27 巻 2 号 p. 225-233
【目的】頸動脈狭窄症に対する内膜剝離術(CEA)やステント留置術(CAS)術前の脳血流評価の意義を検討した.【方法】術前脳血流検査をした220 件(CEA: 99,CAS: 121)を対象とし,黒田分類で評価してtype 別に手術結果を比較した.Type I が115 件(CEA: 35,CAS: 80),II が83(CEA: 46,CAS: 37),III が22(CEA: 18, CAS: 4)であった.【結果】1)MRI で新たな梗塞はtype I で28 件(24.3%),II で21 件(25.3%),III で2 件(9.1%)にみられたが,各type 間に有意差はなかった.2)虚血性神経症状はtype I で5 件(4.3%),II で1 件(1.2%),III で2 件(9.1%)にみられたが,各type 間に有意差はなかった.3)過灌流症候群はtype I で0 件(0.0%),II で2 件(2.4%),III で4 件(18.2%)にみられ,type III は有意に高頻度であった.【結論】血行再建術前の脳血管反応性の評価は,術後の過灌流症候群発現との関連が認められ,低頻度ながら重篤な合併症につながる過灌流症候群の予知には必須と考えられた.