2018 年 30 巻 1 号 p. 47-51
もやもや病は,原因不明の慢性進行性の脳血管障害であり,両側内頸動脈終末部に狭窄を生じ,側副血行路として脳底部に異常血管網(もやもや血管)が形成され,脳虚血症状や出血が起きる.もやもや病に対する直接血行再建術後の急性期に一過性の神経症候の悪化を伴う過灌流現象がみられることがあるが,その病態については不明な点が多い.われわれは,術後急性期に15O-gasPET を用いて過灌流の脳循環代謝の評価を行い,過灌流の病態を明らかにしてきた.過灌流の状態では脳血流量CBF は著明に増加し脳血液量CBV も増加,酸素摂取率OEF の低下が認められる.しかし,症候性の過灌流は脳循環動態の解析では評価できないその他の因子も関与しており,さらに多くの知見の集積による病態の解明を期待したい.