2018 年 30 巻 1 号 p. 53-58
酸素15 標識ガスおよび標識水を用いたPET 測定(15O-PET)により,脳血流量(CBF)を含む主要な脳循環パラメータが高精度に,しかも1 回の検査で取得可能である.脳血管障害の病態評価における臨床的有用性が広く知られているが,近年では他モダリティによる脳循環測定法開発の評価ツールとしての役割も大きくなってきた.CT またはMR 造影剤の急速静注によるbolus-tracking 法や,最近急速に普及した動脈血スピンラベリングMRI 法が臨床利用されているが,CBF 測定手法としての妥当性は明確でない.これらの手法評価には,15O-PETによる脳循環測定との直接比較が非常に有効である.15O-PET のさらなる応用促進のため,検査法の短時間化,簡略化を目指した研究が期待される.