2018 年 30 巻 1 号 p. 77-81
脳梗塞後の炎症は,次世代における脳卒中医療のための治療標的として注目されている.脳梗塞では,細胞死に伴って放出されるダメージ関連分子パターン(DAMPs: damage-associated molecular patterns)がマクロファージ・好中球を活性化し,炎症性サイトカインが産生されると,さらにT 細胞を活性化して炎症を遷延化させる.発症3 日目にはスカベンジャー受容体MSR1 を発現する修復性マクロファージが脳内に出現し,DAMPsを排除して炎症を収束させ,神経栄養因子を産生することによって修復に働く.脳梗塞における無菌的炎症は,DAMPs の働きのように,脳が自律的に制御する生体防御の一環であると捉えることができる.