2018 年 18 巻 p. 32-43
ビタミンD受容体(VDR)とキラリティーが異なる2種類のリガンド間の結合親和性が実験により解析され、リガンドのキラリティーの違いにより、VDRへの結合親和性が大きく変化することが見出された。この原因を明らかにするため、VDRと2種類のリガンド間の特異的相互作用を、ab initio フラグメント分子軌道(FMO)計算を用いて調べた。 その結果、リガンド中でキラリティーが異なる部位が、VDRのヒスチジン残基側鎖のイミダゾール環と強く相互作用し、VDRとリガンド間の結合特性性がヒスチジンのプロトン化状態に依存することが明らかになった。