Chem-Bio Informatics Journal
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タンパク質立体構造情報を利用した機能予測法FCANAL:酵素・結合タンパク質への応用
鈴木 歩安藤 格士山登 一郎宮崎 智
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2005 年 5 巻 3 号 p. 39-55

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抄録

構造ゲノムプロジェクトの進展によってタンパク質立体構造情報の蓄積は膨大な量になり、機能未知の立体構造も増加してきている。タンパク質の機能を予測する手法として配列相同性検索が一般的であるが、機能既知の遺伝子との相同性が見られない配列が多数存在することから、この手法には限界があると考えられている。そこで配列よりも機能部位における保存性が高く、機能と密接に関わっているタンパク質立体構造情報を利用した機能予測法が注目されてきている。これを受けて、私達は立体構造情報を利用した高速・高精度な機能予測法FCANALの開発を行ってきた。本手法では機能部位とそれ以外の部位のアミノ酸残基のCα原子間の距離と、その出現頻度を比較することによってスコア行列を作成し、機能予測に用いている。前回の報告では、スコア行列の作成にモチーフ配列を必要としたが、本報告では配列類似性の低いタンパク質に対しても適用できるように発展させた。31種の酵素タンパク質を対象として作成したスコア行列を用いて、Protein Data Bankに登録されているすべてのタンパク質立体構造に対してFCANALを実行したところ、高い精度で機能部位を予測することができた。今後、構造データベースの拡充とともに、機能未知のタンパク質立体構造が増えることにより、本手法の有用性はさらに高まるものと考える。

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2005 Chem-Bio Informatics Society
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