2025 年 21 巻 p. 15-30
本稿の目的は、中年期に起業した女性の意思決定プロセスを分析し、なぜ起業を決断したのか、またどのように事業を継続しているのかを解明することである。そのため、40歳から55歳に起業し、現在も事業を継続している女性16名に半構造化インタビューを行った結果、以下3点が明らかになった。第1に、中年期女性の起業動機を決定づける要因は、自己犠牲の気づきであり、小さな行動を通じて固定観念の揺らぎが生じることでもたらされていた。第2に、起業プロセスは、エフェクチュエーションの原則と一致していたが、熟達した起業家には見られない、中年期に起業した女性特有のプロセスが存在した。第3に、エフェクチュエーションと自己を解放する力が相互に影響を与え合い、エフェクチュエーションが進行することで自己を解放する力が強化され、その力がさらにエフェクチュエーションを促進するというメカニズムが解明された。