2025 年 21 巻 p. 59-74
介護業界における近年の個人レベルの動向として、地域や所属組織の枠を超えた仲間づくりや学びあいを志向するオンラインコミュニティの活性化が注目される。本研究では、こうしたオンラインコミュニティをバーチャルサードプレイスと位置づけ、介護人材の参加動機、および参加によるキャリア形成への効果とそのプロセスを質的調査により検討した。オンラインコミュニティ「SPACE」の参加者11名に対するインタビュー調査から得られた質的データを分析した結果、介護人材は〈自らの仕事にまつわる閉塞感〉と〈仕事や社会問題への思い〉が交錯する中、バーチャルサードプレイスへの参加を通じて『自信、自己効力感』『自らの職業への肯定感』『「変えていける」可能性の確信』という今後のキャリア形成に向けての重要な原動力を得ていることが示された。