2025 年 21 巻 p. 46-58
本研究の目的は、将来の仕事においてどうなりたいか(希望自己)、どうなることを恐れているか(不安自己)といった可能自己が、就職活動期の大学生のキャリア探索行動に与える影響を明らかにすることである。キャリア上の自己概念はキャリア探索行動に影響を与えると予想されるが、これまでこうした関係に注目する研究は乏しかった。本研究では、仕事における希望自己、不安自己とキャリア探索行動の関係について、大学4年生425名から得たデータをもとに分析を行った。その結果、希望自己は自己キャリア探索行動、環境キャリア探索行動、能動的なキャリア探索行動であるキャリアネットワーキングの全てに有意な正の影響を持つこと、不安自己は自己キャリア探索行動、環境キャリア探索行動に有意な正の影響を持つが、キャリアネットワーキングには有意な影響を持たないことが示唆された。