抄録
本研究は, 企業が自社の環境活動を定量的に評価する仕組みである環境会計を用いて, 循環型社会の構築を支援する手法を提案するものである. まず単独主体における活動の評価を行う枠組みを基本とし, これを拡張することで単独主体, 更には循環型社会を構築する全主体の費用対効果を評価する枠組みを提案している. 評価方法としては, 2つの環境効率指標によって, 相対的に非効率な活動を改善点として抽出すると共に, 費用と便益の帰着点を明確にし, 新たな代替案の検討や, 循環の形成へと向けた産業構造の転換を促す評価基準を提供する. また, 以上から循環型社会を構築するための意思決定に関わる, 社会的な情報提供のあり方について示す.