抄録
市街地における防火性能の評価の際、大規模緑地のみが評価対象とされ、小規模緑地の延焼遮断効果を評価している例は無い。本研究では、小規模緑地の延焼遮断効果を評価できる延焼シミュレーションの提案を行い、小規模緑地による防火対策の有効性を検証した。シミュレーションの精度検証を神戸市の震災被害実測データをもとに行った結果、小規模緑地の効果を考慮した場合、考慮しない場合と比べ、シミュレーション結果が実際の延焼動態に近づき、若干ながら精度が向上した。このシミュレーションを用い、世田谷区の実市街地データを用いた延焼シミュレーション実験の結果、樹林地量と焼失面積の間に、有意な負の相関性がみとめられた。