抄録
本研究では、大阪の社寺境内地における歴史的緑の変容プロセスを明らかにするために、名所図会に描かれた社寺の明治から現代までの敷地変容とその要因を検討するとともに、緑地変容の実態と緑に対する管理者意識についてヒアリング調査を行った。その結果、敷地変容には神仏分離令や土地区画整理、戦災等が影響しており、現存する緑地は被災後復元されたものであり、復元には保存樹木・保存樹林、都市公園をはじめとした法制度や名所種類、敷地変容、空間利用の変化、管理者意識が大きく寄与していることが明らかとなった。よって、今後歴史的緑を継承していくにあたり、法的保護制度の改善、効果的な緑化、管理者意識の向上が必要になると考えられる。