抄録
廃棄物は、人間社会の生産活動や消費活動に伴って不可避的に発生するものであり、現代社会が抱える構造的な問題と言える。本研究では、国全体や地域を対象として、経済循環と環境負荷の関係を総合的に把握することができる産業連関モデルを利用し、国内地域レベルでの産業廃棄物排出構造を分析した。1985年~95年の5年毎・3時点の地域産業連関表と産業廃棄物排出量統計を用いた分析の結果、産業部門中では、特に建設業において産業廃棄物排出量と排出誘発量に急増が見られること、大都市圏と地方圏では産業廃棄物の排出構造に差異があり、地域間交易を通じて大都市圏の環境負荷が地方圏に移転されていることなどが明らかになった。