p. 145-150
本研究では、河川環境の変化が、河川流域の住民と河川との相互的関係性に如何なる影響を与えているかを捉えることで、都市河川の環境的意味を把握し、今後の河川環境整備のあり方を考える上での計画的示唆を得ることを目的とする。そのため、文献資料や統計資料から地域環境と河川環境整備の変遷について検討し、河川周辺に居住する住民を対象にヒアリング調査を実施して住民と河川の係わりの変化について捉えた。その結果、自然環境をもつ河川は住民との係わりが多様に見られ、住民が自由に利用できる社会的空間としての価値が高いことがわかった。一方、産業環境としての河川は住民の生活と直接係わりをもたない外的施設の状態になっていることが把握できた。