p. 157-162
本研究は、ソーシャルキャピタルの形成という視点でアートプロジェクトによる地域づくり活動のプロセスを質的に分析したものである。活動の行われた集落の区長へのインタビューを基に、アートプロジェクトへの参加を通して集落や住民がどのように変容したかというプロセスについて調査した。地域社会を構成する各要素間の関係性の変化を調べた結果、活動によってソーシャルキャピタルが形成されたことが確認され、高齢者の参加や外部との交流などのネットワーク構築に関する要素が抽出された。また、アートプロジェクトのもつ、住民参加をより促進するという特性により、意欲の生成など、形成が難しく持続的発展に貢献するとされる認知的ソーシャルキャピタルの形成がより促されることが確認された。