本研究では、シナリオアプローチを援用して、人口変化、土地利用等の地域構造の転換と連動した生物生息空間の回復を目指す計画を立案するための分析の枠組みを作成し、生息地を保全する施策の効果を定量的に検討することを目的としている。具体的には、荒川流域(東京都、埼玉県)において、複数の将来シナリオを人口と土地利用によって定量的に示し、各シナリオ下での生物保全策の効果の比較分析を行った。その結果、丘陵地における森林再生施策、河川周辺でのヨシ群落の再生が効果的な施策であることが見込まれた。さらに、土地利用の転換と連動させて生息環境の回復を目指す施策を検討することの有効性と現状の課題について考察した。