抄録
本研究では、まず、地域通貨イサカアワーが流通するニューヨーク州トンプキン郡における財・サービスの自給割合を示す域内調達率RPC(Regional Purchase Coefficient)の2時点間の推移を分析し、次いで、既往研究に基づいて推計されたイサカアワーによる部門別取引額のデータを産業連関分析に適用し、同地域通貨イサカアワーを使った最終消費により削減される、輸送起因の直接・間接を含む誘発二酸化炭素排出量について、地域間交通を簡略化した条件の下で推計した。分析の結果、地域通貨イサカアワーの流通により年間に炭素換算で約308kg-Cの誘発二酸化炭素の削減効果がもたらされることが推計された。