抄録
本稿は、再生可能エネルギーの政策実施に必要とされる費用の、費用規模問題と費用負担原理について考察し、その実際をデンマークにおける制度史的な側面からあきらかにする。通常、再生可能エネルギーは化石燃料の外部不経済性の観点から論じられるが、そこには限界がある。再生可能エネルギー政策費用は外部不経済だけでなく技術革新や低環境負荷型エネルギーシステムへの転換が範疇にあることが示される。またデンマークの事例から再生可能エネルギー政策の費用負担原理は公的負担から受益者負担の一種である電力消費者共同負担へ移行しつつあり、費用負担の透明性も強化されていることが示される。