抄録
近年、地方都市では、都市の郊外への拡大に伴う中心市街地の空洞化が進み、中心市街地と周辺地域の棲み分けに関する再考が求められている。本研究では、盛岡都市圏を対象に、中心市街地と2つの周辺地区との間の交通利用特性をアンケート調査により分析し、地区による交通ニーズを比較することを通して、交通環境の整備に有用となる知見を得ることを目的とした。特に、バス交通を主体とする公共交通の利用実態、および冬季の交通利用実態に着目し、交通目的と利用交通手段、夏冬の利用交通手段、バス交通の評価に関する分析を行った。中心市街地へ向けた多様な交通ニーズの存在を明らかにするとともに、今後の交通施策に関する考察をまとめた。