抄録
「壁景堡」は平遥地方に現存する唯一の「堡(住宅集落)」である。「堡」における文化遺産的価値を認識し,また当時の生活空間の知恵を継承していくため,本研究は今後の「壁景堡」の保全及び他の「堡」の復元において意義がある。本研究は「壁景堡」にある58住宅における入口の配置,進数,対称性,敷地の建設規模及び縦横比に関する類型及び特徴を明らかにすることである。結果:入口の配置が変化に富む点は中国北方における伝統的な営造モデルとは異なる。中庭の対称性が強い,伝統的な営造モデルと一致する。東堡,中堡,西堡の三つ「堡」の中にあるそれぞれの住宅の建設規模の違いはゾーン分けの計画意向を反映した。住宅の敷地面積が増大するにつれて,南北軸に沿って院落数の割合が増える。