環境情報科学論文集
Vol.22(第22回環境情報科学学術研究論文発表会)
選択された号の論文の96件中1~50を表示しています
  • 永井 祐二, 永田 勝也, 吉田 徳久
    p. 1-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    環境問題の原因の一つとして,自ら及ぼす環境への負荷が,空間的あるいは時間的に人間の認識可能域を超えてしまうことがあげられる。本研究では人間の生活行動から発生する環境負荷等の実態を考え,身近な地域での取組みを的確に捉えることができるシステムを提案することを目的とする。具体的には,地域通貨の手法を用い,環境保全活動(省エネルギー,3R,地域清掃,環境教育など)に新しい通貨の価値を見出し,これらに貢献する市民にポイントによる経済的インセンティヴを付与する方法を提起するとともに,通貨の履歴を用いた情報は、環境への貢献度を表す環境指標として有効かどうかを検討する。
  • 東 善広
    p. 7-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    琵琶湖流域における参加型流域管理のために,WebGISを用いた水環境調査支援システムの開発と実践普及により,数多くの活動団体の調査情報を横断的に共有できるようになった。一方で,本システムの自発的利用には課題が認められ,この技術が環境保全活動に役立つことを知ってもらう場づくりや仕組みづくりの構築が重要であることがわかった。それにもとづいて実践方法を改善した結果,事例数はまだ少ないものの,活動団体の自発的利用度を高めることができたため,流域管理への地域住民の主体的参画を促進させる手法としていくための提案ポイントを明らかにした。
  • ―九州地方のVSPを事例として
    亀野 辰三, 田中 孝典, 熊野 稔
    p. 13-18
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,九州地方の国道において,「ボランティア・サポート・プログラム」(以下,VSP)と呼ばれる環境美化活動を実施している全団体を対象として意識調査を実施し,VSPの評価と効果を検討したものである。また,所属団体を「住民グループ」,「企業」,「その他のグループ」の3種類に分類し,所属団体別にVSPに対する評価や効果の要因を分析した。分析の結果,1)大半の活動団体はVSPの効果については肯定的である。2)VSPの効果の要因は所属団体別に異なること,等が明らかになった。
  • 近藤 貴弘, 近藤 健雄, 山本 和清, 小川 信次, 小泉 勇祐, 小林 貴子
    p. 25-30
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    1999年に海岸法が改正され,その目的に「海岸の防護」に加え,「海岸環境の整備と保全」「公衆の海岸の適正な利用」が盛り込まれたことで,今後の海岸利用促進のための整備が進められることが期待されている。本研究では,通年利用が可能な海岸利便施設の設置に向け,海岸を有する39都道府県を対象とした,海岸における規制の実態調査をを行った。また,通年利用型海岸利便施設の事例の分析を行うことで,施設設置のための要件および規制を明確にした。その結果,設置条件は「海岸防護の担保による安全性の確保」・「公共性の担保」の2つが挙げられた。これらの条件をクリアすることにより,通年型海岸利便施設設置が可能になると考える。
  • -日本の事例研究
    ヤバール ヘルムート, 原 圭史郎, 張 海燕
    p. 37-42
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    技術イノベーション(技術革新)は,社会のサステイナビリティ実現において重要な役割を持つ。技術「ロックイン」は,技術革新を促進,普及する上での障壁の一つとなっており,この障壁を克服し,技術革新を進めるための政策デザインが重要となる。本論文では,ダイオキシン問題および廃棄物リサイクリングを具体ケースとして取り上げ,日本の環境政策が技術革新に与えた影響,効果について考察を行う。その中で,技術プッシュ・需要プルの関係性における政策の重要性を論じ,環境政策がダイオキシン問題の克服や,廃棄物リサイクリングの代替技術の普及へとつながったことを示す。最後に,生産と消費パターンの改善に向けた政策の必要性を述べる
  • 葛西 真志, 山本 祐吾, 上田 泰史, 齊藤 修, 盛岡 通
    p. 49-54
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    WEEEやRoHS,EuP指令などの製品環境規制に対応するためには,いわゆる川上から川下までの産業主体が連携して,素材-製品チェーンのマネジメントを展開していく必要がある。本研究では,電子および自動車部品製造企業の対応行動に着目し,その取り組み内容や対応度を調査・分析した。その結果,環境負荷低減の取り組みにおいて,それぞれのサプライチェーン上での業界・業種特性を反映した異なる傾向が明らかになった。
  • ―ミャンマー国南シャン州を例として
    山村 隆徳, 山村 弘美
    p. 55-60
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    開発途上国の村落住民が実施する発電事業について,これまで運営・経営面での研究がなされていないという問題意識のもと,ミャンマー国南シャン州における住民参加型小規模水力発電事業を事例とし,現地村落住民による電気料金の価格決定について考察する。価格は電気料金が全世帯一律であるという現状を考えれば,市場規模の最大化が余剰の最大化よりも重要な目的として決定されていると言える。しかし,継続的に事業を実施するためには,公益性を阻害せずに収益性を向上させる仕組みを確立させることが不可欠である。
  • ―オレゴン州における北マダラフクロウ(Strix occidentalis caurina)生息地保全のケーススタディ
    木島 真志
    p. 61-66
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,エコロジカルコンポーネントと経済コンポーネントからなる統合的最適化数理モデルを構築し,北マダラフクロウの生息地保全と木材生産の間のトレードオフ分析を行った。生息地の質は,植生の空間的連続性に依存するので,空間的パターンの評価が可能なモデルを用いた。異なる政策シナリオにおける最適解の比較を通して,次の知見を得た。1)保護区域の拡大はフクロウ生息地の質を高めるが,保護に関する制約を緩めることで,木材生産からの純収益現在価値を増加させ,かつ計画期間を通して安定的に生息地の質も維持できる可能性がある。2)生息地に関する制約がない場合,木材生産の収益が最も高くなるが,生息地の質は悪化する。
  • 岡村 智仁, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 79-84
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    クリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトからの排出権(CER)取得を検討する際のリスクとして,排出権不足リスクが考えられる。本分析では,最新のCER発行実績に基づいた分析を実施し,CER発行割合の分布傾向が,プロジェクトタイプによって大きく異なることを定量的に示した。また,これまでのCER発行割合トレンドからベイズ分析を用いることで将来のCER発行割合の予測を実施し,2012年までのCDMプロジェクトからのCER供給ポテンシャルの推計を実施した。
  • 市原 純
    p. 85-90
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本論の目的は,インドネシアのCDMの現状を踏まえながら,CDMプロジェクト実施の課題や障害を明らかにすることである。インドネシアのCDMは,期待されていた程の成果を挙げているとは言いがたい。したがって,インドネシアでのCDMプロジェクトの実施にはどのような阻害要因が存在するのか,インタビュー調査により検討を行う。その結果,CDM案件の実施を阻害する要因としては,インドネシアの国内制度と制度運用面の課題やプロジェクトファイナンス面の課題が確認された。
  • -北海道札幌市を事例として
    八重樫 大樹, 市村 恒士
    p. 91-96
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,都市緑地における炭素循環モデルを構築し,炭素循環モデルの有用性や今後の課題について検討することを目的とした。実際には,都市緑地の炭素のフロー及びストックに関わる過去の研究データを整理しつつ,それらのデータとシステムダイナミックスモデルにより炭素循環モデルを構築した。炭素循環モデルを実行した結果,都市緑地全体の炭素吸収固定量と炭素排出量の変動予測及び将来の時間変動の推定が可能であることが把握された。今後,都市緑地における炭素循環モデルをより改善していくためには,都市緑化計画に関する各種方策の影響度等を考慮したモデルを構築すること等が課題である。
  • 小川 宏樹, 永谷 太一郎, 浦山 益郎, 松浦 健治郎
    p. 133-138
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,国勢調査の地域メッシュ統計を用い,わが国の人口がピークを迎える直前の2000年~2005年における名古屋都市圏の人口動態を分析した。主な結論として,第一に,人口増加メッシュが48.2%,人口減少メッシュが35.4%あり,その分布はモザイク状であった。第二に,人口増加メッシュと人口減少メッシュの人口密度の差が小さくなっていた。第三に,細密数値情報を用いて類型化した住宅地類型別に分析すると,20km未満圏では複合市街地および一般住宅地から人口減少し都心回帰とドーナツ化が複合的に進展し,20km以上圏では地方都市の中心市街地から人口減少し,郊外の進行住宅地へ分散が続いていることがわかった。
  • 藤居 良夫, 楊 磊
    p. 139-144
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年,急速な経済発展を遂げている中国の地方都市では,人口集中による密集市街地の形成や市街地のスプロール化などに伴う生活環境の問題が顕在化しており,将来,都市計画の立場から生活環境の向上が求められる。本研究では,河北省廊坊市の市計画区域を対象として,地理情報システム上で多基準評価手法を用いて,生活環境の現状評価を行った。その結果,地域全体で生活環境の不均等状態が読み取れた。また,この評価手法は,目標とする将来計画に応じて,多面的,客観的に生活環境の現況評価を行う手段となり,今後,中国における地方都市の計画策定に有用であることがわかった。
  • -環境産業連関分析による検討
    小林 慎太郎, 櫻井 一宏, 氷鉋 揚四郎
    p. 31-36
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    渤海は豊かな漁場であるが,沿岸の急激な経済発展により汚染が深刻化する。水質改善策の策定に備えて,水質汚濁の実態把握が必要である。そこで本研究では,沿岸域からのCOD排出量を推計した。その結果,製紙業と食品加工業からの排出が非常に大きい。環境産業連関分析により環境と経済への影響を分析すると,これらの産業の改革が経済へ与える悪影響は小さいことが予測される。
  • 桑名 謹三
    p. 43-48
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    賠償資力不足が企業の注意水準に与える影響に関するこれまでの研究においては,企業の生産活動が固定されたモデルが用いられている。しかしながら,企業は生産活動を調整することが可能である。また,裁判においては,先行研究において定式化された注意水準が過失認定基準となっているとはいいがたい。さらに,先行研究においては,現実味のある確率・損害額関数の特定化ができないため,数値解析は用いられていない。そこで,本研究においては,注意水準を適切に設定することによって,企業の生産活動をも考慮した分析を数値的に行った。その結果,企業の賠償資力不足の問題は,過失責任の場合であっても深刻であることがわかった。
  • ― 千葉県千葉市の事例
    栗島 英明, 楊 翠芬, 田畑 智博, 玄地 裕
    p. 67-72
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物の最終処分場の残余不足は大きな問題であり,処分場の延命化のために排出抑制と資源リサイクルがおこなわれている。一方,こうした施策は,地方自治体に財政的な負担を強いており,その負担が果たして適切であるのかを費用便益の視点から検討する必要がある。本研究では,千葉県千葉市の住民を対象に表明選好法を用いて,処分場延命化による便益を,新規立地の社会コストとその先延ばし,という視点から評価することを試みた。その結果,新規立地による社会コストは,14,000円/世帯と見積もられた。また,処分場が延命化され,新規立地が先延ばしされることの効用関数は,13年後が極大となる二次関数と推定された。
  • 村中 亮夫, 中谷 友樹
    p. 73-78
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,京都を事例に災害発生から歴史的景観を復興する支払意思額の意識構造分析を行った。構造方程式モデリングによる分析の結果,1)歴史的景観の持つ文化や歴史,快適な環境を提供する機能を高く評価する者ほど景観喪失に対する自然災害リスクや景観価値を高く認識し,高いWTPが表明されること,2)京都固有の歴史や文化に基づく京都への帰属意識が京都市外居住者よりも市内居住者で高く,市内居住者で高いWTPが表明されること,3)所得がWTPに与える効果について,家計の支払能力を背景とした直接効果と,文化・歴史に対する知識量の多さに基づく歴史的景観の持つ外部経済に対する期待から高いWTPが表明される間接効果が存在することが示された。
  • 吉水 祥平, 大藪 崇司, 澤田 佳宏, 山本 聡, 藤原 道郎
    p. 97-102
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    我が国における家庭部門のCO2排出量の伸びは著しく,抜本的な対策や施策が喫緊の課題である。本研究では,戸建住宅居住者に対して庭木のCO2削減効果に関するアンケート調査を行った。その結果,庭木のCO2削減効果に関する情報を与えた回答者は,情報を与えなかった回答者に比べ,CO2削減効果を理由に植栽プランを選択した割合が有意に高かった。また,情報を提示することで,緑化意識や環境意識の向上につながったという回答が得られた。以上のことから,一般住民に庭木のCO2削減効果を示すことが地域の緑化の原動力となり地球温暖化対策につながると推察された
  • 杜 軍, 白川 博章, 韓 驥, 井村 秀文
    p. 103-108
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,1992年,1997年及び2002年の産業連関表(95分類)を用いて,中国の家庭で直接・間接的に消費されるエネルギーとそのCO2排出量を推計した。分析の結果,当該期間の家庭部門における間接的エネルギー消費量はその全消費量の約55%以上を占め,CO2排出量では58%にのぼることが明らかになった。また,2002年において都市部では1人当たりエネルギー消費量は24GJ,1人当たりCO2排出量は2.4tであるが,農村においてはそれぞれ19.7GJ,1.8tであった。家庭部門におけるCO2排出強度は減少しているものの,CO2の総排出量は緩やかな増加傾向にある。これはエネルギー効率の改善によるエネルギー消費量の減少よりも世帯数の増加や支出構造の変化といったエネルギー消費の増大が上回っているためだと考えられる。
  • -ツバルとサモアの事例より
    森田 香菜子
    p. 109-114
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,小島開発途上国の気候変動への適応策を推進するために有効な戦略を考案することを目的とし,ツバルとサモアの事例研究を4つの軸,1)気候変動の影響,2)適応策の種類・費用,3)国内政策・制度,4)資金援助体制を基に分析した。研究の結果,ツバルでは事後的でトップダウン型,費用の高い適応策が必要で,国家の適応実施能力の低いツバルでの適応策推進には,レシピアンが地域組織となる援助形態が有効となる。サモアでは事前的で比較的費用の低い適応策が必要で,国家の適応実施能力の比較的高いサモアでは,その推進に地球環境ファシリティーを軸とし,レシピアンが国家・ローカル組織となる援助形態が有効となる。
  • 山本 直子, 早川 誠而
    p. 115-120
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,強い上層寒気がゴビ砂漠付近の砂塵嵐の要因となって日本に黄砂をもたらすという仮説に基づき,エルニーニョ及びラニーニャ時の上層寒気の強さの違いと砂塵嵐と黄砂観測日数との関連を検討した。近年の春季の九州地方の黄砂観測日数はラニーニャ時には多くエルニーニョ時には少ない傾向があり,特にラニーニャの2006年とエルニーニョの2003年に顕著に現れた。モンゴルでは上層寒気が強く気温減率が大きい年ほど大気が不安定となり砂塵嵐が多くなる傾向があり,特にラニ-ニャ時の2006年春は強い上層寒気が何度も入り砂塵嵐が顕著であった。近年のモンゴルの砂塵嵐増加と2000年以降の日本の黄砂増加との関連が認められた
  • 山本 秀一
    p. 121-126
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    自転車の最適走行計画の数学モデルを非線型計画法によって構築した。モデルにおいては,自転車の乗り手の属性,自転車の種類,道路勾配を考慮して,乗り手は疲労度を最小にする走行計画を選択する。比較静学分析と単純なケースの数値シミュレーションによって,モデルの理論的分析を行った。
  • 松村 暢彦
    p. 127-132
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,モビリティ・マネジメントによる交通行動変容による二酸化炭素削減効果と地域への愛着の関係性を明らかにすることを目的とした。ケーススタディ地域は,大阪府枚方市楠葉地域とし,コミュニケーションシートを配布した群と制御群に分けて実験を行った。その結果,モビリティ・マネジメントによってバスの利用頻度の増加が確認され,自動車利用頻度が高い人ほど地域への愛着指標が低く,徒歩や公共交通利用頻度が高いほど愛着指標が高くなった。また,モビリティ・マネジメントによって交通行動の変容効果が高い人ほど,地域への愛着の向上効果が示された。
  • -住民による自治会への評価に着目して
    吉川 郷主, 市田 行信, 勝村(松本) 文子, 西前 出, 小林 愼太郎
    p. 19-24
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は,地域の資源や環境の管理にかかわる活動(集会所清掃,水路管理,伝統芸能の継承等)に対する住民参加と,その関連要因について検討を加えたものである。関連要因のひとつとして,これらの活動の主体である自治会の「参加しやすさ」,「活動しやすさ」に関する住民評価の尺度(自治会評価得点)を取り入れた。分析の結果,近所づきあいや農業従事等についての要因が,各種の活動参加に有意に関連していた。また,自治会評価尺度は多くの活動参加に有意に関連していた。このことから,地域の資源や環境の管理にかかわる活動への参加を促進するためには,住民からの自治会に対する評価を上げていくことが有効であることが示された。
  • -登別市ネイチャーセンター「ふぉれすと鉱山」における事例調査
    小松 亜紀子, 金岡 省吾, 岩谷 祐子, 吉元 美穂, 市村 恒士
    p. 145-150
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,マーケティング理論の活用,および目標管理型事業運営へと貢献する消費者行動研究の観点の一観点である,自然体験施設の提供サービスと来訪者の満足度評価の関係性を検証した上で,運営方針の妥当性を評価することを目的に実施した。結果として,当該施設が提供するどのサービスが再来訪者確保により一層有効かを解明し,当該施設のサービス改善・提供にかかる重要度(理想的な優先順位)を明らかにした上で,当該施設の運営方針の妥当性を評価し,今後の運営を支えるための研究課題を明らかにした。
  • 高塚 敏
    p. 151-156
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    田園自然再生活動の優良事例を対象として,市町村の行政担当者へアンケート調査を実施した結果,行政担当者は活動が農村地域に及ぼす効果に関して,活動の本来の目的である環境面では効果があり,社会面では効果が大きいと評価していることがわかった。さらに,地域をPRする効果は突出して評価が高いことがわかった。また,都市住民との交流に力を入れる活動,集落・自治会が主体となっている活動,中間農業地域における活動で効果が大きいと評価している。今後は,地元市町村の理解と支援を得ながら活動を拡大していくためには,マスメディアに取り上げてもらえる活動の実施や行政担当者にも活動に参加してもらうことが重要であると考えられる。
  • 渡辺 一哉, 中村 俊信
    p. 157-162
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    水路の護岸工事において,生態系配慮工法として施工された粗朶柵工・空石積み工の効果を,ゲンジボタルの生息状況から検討することを目的とした。ゲンジボタルの成虫の飛翔個体数を数えた結果では,2000年から2003年までで562.4%の増加率となっており,その大部分が生態系配慮区間内で確認された。産卵は約80%が粗朶柵工に産卵していた。さらに,70%が苔を産卵床として利用していた。幼虫の分布も年毎に拡散傾向を示したが,生態系配慮区間内での確認が多い傾向は変わらなかった。粗朶柵や空石積み工は,水際部から陸上部に移動することが容易であると考えられた。
  • 水島 真, 深町 加津枝, 三好 岩生, 奥 敬一
    p. 163-168
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では3タイプの流路工が連続的に施された小河川の河床と法面において植生調査を行い,生育状況や種組成の比較を行った。結果,護岸工のみが施された区間においては河床での植生の出現種数が多く,3面張り流路工区間では出現種数が有意に少なかった。また,コンクリートブロック護床工の区間ではミゾソバやアメリカセンダングサなどの一年生草本が優占し,帰化植物の出現率が高かった。工法の差異に応じた河床・河岸の構造物の微細な形状変化よって土砂の堆積状況が変わり,種組成に変化が現れると考えられ,渓畔域の植生管理を行う上で砂防工事が作り出す微細な形状を重視する必要がある。
  • 窪山 恵美, 藤原 一繪
    p. 169-174
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    関東地方の照葉樹林において,既存の社寺林を対象とした研究をもとに,現在の残存状況と約30年間の種数・種組成の変化および,その要因を明らかにした。同一地点を調査した結果,207プロット中105プロットにおいて照葉樹林が残存していた。過去と現在を比較した結果,照葉樹林構成種と園芸植栽種が増加し,草原・路傍植生構成種が減少しており,森林構成種に園芸・緑化用に植栽された樹木からの逸出種を含む森林へと変化しつつあると考えられた。
  • 大平 充, 西田 一也, 満尾 世志人, 角田 裕志, 千賀 裕太郎
    p. 175-180
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    小流域の魚類の流程分布と環境条件の関係の把握を目的として,湧水を水源とする流程約2.5kmの水路で調査を行った。9月には上流にホトケドジョウ,アブラハヤ,下流にオイカワ,タモロコ,ギンブナという分布が確認された。主成分分析と相関分析の結果,分布に影響する要因として水温が挙げられた。ホトケドジョウ,アブラハヤは低水温帯,オイカワ,タモロコ,ギンブナは高水温帯に出現した。水温は上流から下流に向かって上昇しており,水温の選好性の違いが流程における魚類の分布に影響する可能性が示唆された。そして,水温条件は魚類群集の保全を行う上で考慮すべき事項であると考えられた。
  • 土金 慧子, 大澤 啓志
    p. 181-184
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    都市域における身近な小動物としてトカゲ類(ニホントカゲ,ニホンカナヘビ)を指標に,点在する小規模な都市緑地での生息状況の調査と生息地としての評価を行った。調査は神奈川県藤沢市を事例に13地点の緑地で2007年の5月~10月にかけて計10回,目撃確認法により行った。その結果,延べ78個体が確認された。また,各調査地面積より個体数密度を算出したところ,一戸建て住宅の庭において非常に高い値が得られた。さらに,確認個体数密度の規定要因の解析により,ニホントカゲでは周辺の緑地割合と地表付近の多孔質構造の面積率に有意性が示され,本種の生活様式が関与していると考えられた。
  • -岩手県のため池を事例として
    満尾 世志人, 大平 充, 角田 裕志, 千賀 裕太郎
    p. 185-190
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    水田水域に生息する多くの魚類は繁殖のため一時的水域へと移動することが知られているが,ため池内に生息する魚類の生活史については十分な研究が行われていない。そこで本研究は,魚類のため池‐水路‐水田間の水域ネットワーク利用実態の把握を目的とした。調査の結果,灌漑初期において,降雨に伴って多数のドジョウやフナ属がため池から水路・水田へと遡上しており,ため池内に生息する魚類も繁殖期に周辺の水路や水田に移動し産卵を行っていると考えられた。とくにため池内にオオクチバスが生息している場合,ため池から水路・水田へ移動し繁殖を行うことは在来魚類にとって大きなメリットであると考えられた。
  • 角田 裕志, 満尾 世志人, 大平 充, 土井 真樹絵, 千賀 裕太郎
    p. 191-196
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    外来魚オオクチバスの食性と本種が在来魚類に与える影響を解明することを目的として,奥州市胆沢区南部の12箇所のため池を調査した。ため池ごとに本種の食性は大きく異なり,魚類相が豊富なため池では魚類が主な餌であったが,魚類相が貧弱なため池では昆虫類や動物プランクトンを主な餌としていた。また,バスが生息するため池と生息しないため池の魚類相を比較したところ、バスが生息するため池ではモツゴの個体数が有意に少なく,フナ属,ドジョウ,ヨシノボリ属では体サイズについて差がみられた。従って,バスの捕食は在来魚の個体数だけでなく体サイズにも影響し,特にコイ科魚類や底生魚類はその影響を受けやすいと考えられる。
  • 亀野 勝彦, 永谷 結, 柄澤 孝和, 梅木 清, 本條 毅, 三上 岳彦
    p. 197-202
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,ヒートアイランド分布への風向の影響を首都圏スケールで明らかにすることを目的とし,夏季における広域METROSの気温データおよびAMeDASの降雨量と風向,風速データを使用して,観測領域内で1日の内に卓越する風向を東西南北別に解析に用いた。気温差を時系列解析した結果,ヒートアイランドは夜間に都心を,日中に都心および関東平野中央部を中心とし,風向変化から影響を受け,風下側に移動することが明らかになった。この移動は2~3時間の短い期間の風向変化に伴って,急速に起こることがあった。また南東の時には神奈川県沿岸部で,東京湾沿岸部と比較して,海風による強い冷却効果を受けることが明らかになった。
  • 木下 進一, 吉田 篤正
    p. 203-208
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    都市域のヒートアイランド現象の要因として,建物外皮において昼間日射が多く吸収され,その表面温度の上昇に伴う空調負荷の増加ならびに夜間の放熱による気温上昇が挙げられる。建物内部への熱負荷の抑制法として,建物躯体の断熱や高反射率素材の施工が考えられる。本研究では高反射率防水シートと断熱材を併用した数種類の構造を持つ屋上面を想定した試験体を用い,試験体内部,および試験体表面での熱移動に及ぼす構造の影響を屋外実測により評価する。
  • 平野 勇二郎
    p. 209-214
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では住宅における太陽エネルギー利用技術として太陽光発電パネルと太陽熱温水器を取り上げ,その導入効果を比較した。とくに,電力は様々な用途に利用できるが,温熱は給湯などに用途が限定されるというエネルギーの質的な違いを考慮するため,「エクセルギー」を指標として比較した点に本研究の特徴がある。この結果,エネルギー効率は太陽熱温水器の方が高く,エクセルギー効率は太陽光発電パネルの方が高いという結果を得た。したがって,給湯用温熱は低エクセルギーであるため,現状の技術では太陽熱温水器が適している。一方,技術的対策によるCO2排出削減の可能性は太陽光発電パネルの方が高いことが予想される。
  • 櫻井 一宏, 小林 慎太郎, 水野谷 剛, 氷鉋 揚四郎
    p. 215-220
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    環境問題の改善のためには,生産・消費・廃棄という一連のプロセスを見直し,廃棄物の再資源化など限りある資源を最大限に活用することが必要である。本稿では,茨城県の霞ヶ浦流域を対象にバイオマス技術を導入した場合の効果を環境負荷や経済性において既存の環境政策も含め総合的に評価し,環境政策としての導入可能性について検討する。総合評価モデルを構築し,動学的最適化シミュレーションの結果,2004年からの10年間で毎期1%成長のGRPを達成しつつ,バイオマス技術の導入によりT-Nが約5,000トン,温室効果ガスは約350万トンの削減が見込まれる。また,県の環境政策の年間予算を1%増加させた場合,さらにT-N負荷420トン,温室効果ガスは50万トンの削減が可能という結果となった。
  • -中山峠風力発電施設を例として
    吉岡 剛, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 221-226
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年,欧米では老朽化した中小規模風車を大型化へ更新(リパワリング)することが活発に行われており,日本においても更新需要は高いものと考えられる。一方,風力発電事業は自然リスクや制度リスクなどの不確実性を抱えた事業である。このような不確実性下にある風力発電事業の事業評価を行うに際し,本研究では,投資の柔軟性を考慮できるリアルオプションを取り上げ,検討を行った。評価対象としては,中山峠風力発電施設を取り上げ,設備更新に関わる事業の継続,撤退,拡大の意思決定をどのタイミングで行うかを,二項モデルによるリアルオプション手法を用いて評価した。
  • 楊 翠芬, 菱沼 竜男, 栗島 英明, 玄地 裕
    p. 227-232
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    千葉市における生ごみバイオガス化施設の導入効果を評価するために,LCA的手法を用いて現状の焼却処理システム,生ごみバイオガス化と焼却処理を組合せたシステムを収集輸送,中間処理,残さ輸送,埋立処分(資源利用)の各段階におけるコスト,CO2排出量,エネルギー消費量および埋立処分量を検討した。また,エネルギー消費による社会コスト,CO2削減コストを経済コストとして内部化し,経済コストとの合計コストを試算した。その結果,生ごみバイオガス化と焼却処理を組み合わせたシステムが現状の焼却処理より合計コストが削減することが明らかになった。
  • 妙中 佐由理, 谷川 寛樹
    p. 233-238
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    地球規模での気候変動への対策として,都市・地方を問わず「低炭素社会」の構築は急務である。一方,国産木材需要の低下による人工林放置の現状や,石油高騰の影響等を鑑みて,木材資源のエネルギー利用を検討する必要がある。本研究では,エネルギーの地産地消を目指し,人工林由来のバイオマスエネルギーのハウス栽培農家への暖房エネルギー供給について空間的な分析を行った。具体的には,間伐材でエネルギー供給を行った場合のエネルギー供給量,ハウス栽培で必要とされるエネルギー需要量を空間的に推計し,持続的な木質バイオマスエネルギー供給の可能性についての検討を行った。その結果,ケーススタディ地域の和歌山県印南町の持続的供給可能率は,161%(チップによる供給を行った場合,供給量/需要量)であった。
  • 日中応用一般均衡モデルによる定量分析
    山崎 雅人
    p. 239-244
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年,日本から中国へ向けた鉄くずの輸出量が増加しており,鉄くず価格の上昇を引き起こしている。そのため鉄くずを主原料とし,粗鋼を生産する電炉メーカーは,生産コストの上昇に直面している。本稿では日中応用一般均衡モデルを用いて,国内における鉄くずリサイクルを維持するための2つの政策(電炉メーカーへの減税措置と鉄くずの輸出に対する課税)を比較検討する。分析により,電炉メーカーへの減税措置は鉄くずの国内価格を高騰させ,転炉などの鉄くずを用いる他の産業の生産コストを上昇させるのに対して,鉄くずの輸出に対する課税は国内の鉄くず価格を下落させ,鉄くずの利用コストを引き下げることが明らかとなった
  • 徐 強, 高橋 卓也
    p. 245-250
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    滋賀県内の製造業企業がどのような種類の産業廃棄物削減対策を採用しているのか,採用された対策は企業の特徴にどのように影響されるのか,採用された対策がどのような効果をもたらしているのかを明らかにすることを目的として,234社を対象としたアンケート調査を実施した。企業規模と産業部門が採用される対策の種類に影響を及ぼしている。約半数の企業が対策の効果に満足している。対策実施に伴って,資源生産性が向上することによって,生産コストが削減されることが期待されるが,そうしたコスト削減効果が上げられている企業は約2割存在する。コスト削減効果のある対策はどのようなものか,可能性のある対策の組合せを検討した。
  • 吉野 敏行, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 251-256
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年,日本の使用済み家電製品が大量にアジア諸国に輸出されるようになり,日本の循環型社会形成に負の影響を及ぼすとともに,アジア諸国に深刻な環境汚染を引き起こしている。本稿はこの問題の解決策として拡大輸出者責任制度を提案している。この制度はアジアへ輸出される使用済み家電製品に廃製品輸出負担金を課し,それをアジア諸国に還元する仕組みである。この制度が外部費用を内部化し,国内循環と国際循環の社会的費用の適正な配分と経済的厚生の最大化を実現できることを数理的に検証した。
  • 林 希一郎
    p. 257-262
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,インドネシアのプランテーションから粗パーム油(CPO)工場までのパーム油製造プロセスに着目し,そのバイオ廃棄物処理方法の特徴を他国工場と比較した。またパーム油製造に伴う環境負荷インベントリーを作成し,さらに複数のバイオ廃棄物の活用方法を比較することにより低環境負荷型バイオ廃棄物活用方法の示唆を得ることを目的とした。分析の結果,富栄養化,地球温暖化,酸性化が主な環境影響であることが明らかとなった。富栄養化対策,温暖化対策の観点からパーム油工場廃水対策は効果が高い方法である。またバイオ廃棄物のプランテーションへの投入により,化学肥料の投入量が削減され,各種環境影響が抑制されうる。
  • -和歌山県におけるケーススタディ
    吉田 登
    p. 263-268
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,和歌山県レベルの廃棄物産業連関表を用いて,廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料(BDF)化が環境に及ぼす影響を定量的に分析した。分析の結果,i)県域全体からの廃食用油の回収により直接,間接を含め1692t-CO2の二酸化炭素削減効果をもたらすこと,ii)地域が拡大するにつれて特に家庭系廃食用油の単位回収量あたりの輸送燃料消費量が大きく増大すること,また全県回収に比較して家庭系の廃食用油回収地域のみを都心部に限定した場合,二酸化炭素排出削減費用は約8%低下することが示された。
  • 望月 康平
    p. 269-274
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    本論では家畜排せつ物堆肥の農地への過剰施用の実態把握と,これに対する有効な改善方策の検討のために,淡路島を事例として堆肥の過剰施用量を推計し,6つの改善シナリオを提示した。その結果,淡路島における堆肥の過剰施用量は16万4千t/年(窒素換算で約3千6百t/年)と推計され,各改善シナリオによる過剰施用解消効果は,メタン発酵施設設置2千9百t/年,戻し堆肥の導入2万9千t/年,耕畜連携の強化2万9千t/年,休耕地の利用4万5千t/年,飼養頭数減少2万2千t/年,全ての改善方策の実施12万4千t/年であった。この結果は他の地域における畜産環境対策の参考になると考えられる。
  • 椎野 亜紀夫
    p. 275-280
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    家庭ごみ排出の場となるごみ集積所の現状について,北海道札幌市を事例に非収集日におけるごみ残留の有無を事例調査により把握した上で,ごみ集積所の形態,隣接地土地利用との関係からごみ集積所のタイプ分類を試みた。研究の結果,ごみ集積所は5つのタイプに分類でき,ごみ残留を促進させる要素として形態が専有スペースやボックスであること,集合住宅に隣接することがあげられた。一方でごみ残留を抑制させる要素として形態がネット+コンテナであること,一戸建て住宅に隣接していることがあげられ,このような空間条件が不適正なごみ排出のしやすさ/しにくさを規定していると推察された。
  • -特異曝露環境の特定と削減効果の推定
    水越 厚史, 山本 尚理, 飯塚 淳, 篠原 直秀, 藤井 実, 山崎 章弘, 柳沢 幸雄
    p. 281-286
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    被験者14名に1日間,環境(通学,職場,自宅)ごとにサンプラを交換してもらい,環境ごとの個人曝露濃度を測定した。11物質のうちベンゼン,p-ジクロロベンゼン,トルエンは基準値や指針値と比して高濃度であった。PRTRデータから通学時のベンゼンの主な曝露は交通量の多い幹線道路が,p-ジクロロベンゼンを高濃度で曝露していた被験者は自宅での防虫剤等の使用が考えられた。一方,発生源が遍在しているトルエンについても曝露量の高い環境を特定することができた。また,特異曝露率を求め,汚染された環境を回避または改善した場合の削減効果を見積もった。これらの情報により効率的に曝露を削減できると考えられた。
  • 井上 靖雄, 山本 尚理, 丸喜 勝, 小西 淑人, 柳沢 幸雄
    p. 287-290
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    位相差顕微鏡を用いたアスベスト繊維濃度測定法(PCM法)において,多視野観察が計数誤差に及ぼす影響を推計するためにモンテカルロシミュレーションを行った。濃度の異なる仮想的な標本を2,000視野まで観察する試行を繰り返し,計数の相対標準偏差(RSD)の変動を推計した。濃度によらず,300視野までは視野数の増加によってRSDは顕著に減少した。また,許容されるRSDが20%であるとすると,仮想標本上に繊維が均一に捕集されている場合であっても,一般大気環境レベルで定量限界を得るには300視野以上の観察が必要であった。これだけの多視野観察を実現するには,計数作業の自動化が必要であることが示唆された。
  • 李 一石, 布施 正暁, 玄地 裕
    p. 291-296
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/01/07
    会議録・要旨集 フリー
    LCAによる地域活動の評価において地域特性の考慮は重要である。そのためには,地域特性を反映した地域データベースが不可欠である。本研究は,地域データベースの効果的な作成方針を検討し,電力を対象にその作成を試みた。まず,地域データベースの作成方針として,地域特性を反映した環境負荷排出・インパクト係数の考え方,考慮範囲,地域・産業のレベルおよび対象環境負荷について検討した。さらに,データ作成における優先すべき産業の選定方法を提案すると共に,その方法により選定された電力産業に関する環境負荷排出・インパクト係数を作成した。
feedback
Top