抄録
伊豆はその景観の多様性と素朴な郷愁が文人をはじめ多くの人々を惹きつけ,多くの文学作品や記録が残されている。本研究では,昭和戦前期の中伊豆地域を舞台とした文学作品に表現された景観を分析することで,当時の中伊豆地域の景観がどのようにとらえられていたか,その特徴を明らかにすることを目的とする。文学作品中の景観描写を分析することで,当時の景観を構成していた要素や,要素の組み合わせによって形成される中伊豆地域の典型的景観を把握することができた。さらに,それぞれの典型的景観がどのような評価を伴って認識されていたかが明らかになった。