抄録
タコノアシ(環境省レッドリスト準絶滅危惧種)の主な生育地である休耕田でタコノアシを保全するための知見を得ることを目的として,茨城県西田川流域の休耕田・放棄水田でタコノアシの生育状況を調査するとともに基盤条件や管理状況の影響を検討した。その結果,タコノアシの生育場所は土壌含水率が有意に高く,継続調査を行った生育場所の土湿は湿または過湿であった。またタコノアシの生育する休耕田の植生管理として耕起が1 筆で,他では刈取がなされていたが,いずれでもタコノアシは経年的に維持されていた。しかし管理が放棄されると,ほとんどの場合で2,3 年の内に消失した。これらから休耕田でのタコノアシの保全には湿田状態の維持と耕起または刈取による植生管理が必要であると考えられた。