p. 215-220
ツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の生息予測分布モデルは有効な生息地管理に役立つ。本研究では,丹沢地域個体群に対するモデルの適用可能性を論じた。モデルの精度検証のため3 種類の現地の在データを集めた。全般的なモデル精度は,正判率が67%~85%であり,これは,本モデルが許容できる転送性を持っており,他の地域個体群にも外挿できることを示唆している。サンプリング方法によって精度が異なったが,1種類のサンプリング方法によって生じたバイアスが原因であると解釈した。モデルには,実際にクマが生息する場所を過小評価する傾向があり,本地域個体群特有の生息地の特性による影響と,里グマと比較して山グマへの高い予測能力があるためと思われた。